現代の家族には多様な形があります。多様であるだけに問題の種類も多く、時代の変化に伴う家族の問題も続々と認められています。

この記事では、家族心理学的視点からみた現代家族の特徴や問題についてご紹介しています。ここでご紹介するテーマの他にも取り上げるべき家族問題はたくさんありますが、代表的な家族問題かつ課題解決のヒントとして主軸となる情報を中心に取り上げています。

多様化する家族の種類

構成人員の多様化

構成人員の違いで見ると、大家族が減少傾向にあり、核家族では標準的な「夫婦と子ども」が減少する一方で、「片親と子ども」の世帯が増加傾向にあります。また、「孤族」と呼ばれる単身者世帯も増加しています。

超高齢化による多様化

近年、国内では高齢世帯が圧倒的に増加しており、「超高齢社会」と言われる所以となっています。

自宅介護では老老介護となる家族や、要介護をきっかけに一度は離れた子どもと同居することになったり、介護施設では集団生活をする被介護者同士を擬似家族や代理家族とする捉え方もあります。

夫婦の状況の多様化

近年は晩婚化が進み、共働き家庭が増えると同時に離婚も増え、それと同程度に再婚家庭(ステップファミリー)も増加しています。また、あえて子どもを作らないことを選択する夫婦もいます。その他、国際結婚や事実婚、同性婚といった、多様な夫婦の形が存在します。

親子の状況の多様化

両親と子といった標準的な家庭では、ひとりっ子などの少子化が進んでいます。また、シングルマザー・シングルファーザーといったひとり親家庭が急増傾向にあります。

子どもができたけれど育てられないなどといった事情から、「赤ちゃんポスト」が利用されることもあります。さらに、不妊問題に対応する手段として、血縁関係のない里親・里子、あるいは生殖補助医療の発達・研究が進んでいます。

住み方の多様化

標準的な核家族家庭というだけでなく、近年では、「インビジブル・ファミリー」といわれる、祖父母や親子が近居に住む形を選ぶ人が増えています。同居することでお互いにかかってしまうリスクを緩和し合うような、便利な暮らし方として人気が高まっているようです。もちろん、昔ながらの二世帯同居をする家庭もあります。

また、週末のみ一緒に過ごす「週末婚」を選ぶ夫婦もいます。

人間以外の家族メンバー

近年では、犬や猫をはじめとする動物を家族成員とみなすだけでなく、非生物である動物型ロボットや、簡単な会話ができる人型ロボットなども家族の一員としている世帯もあります。

ワーク・ライフ・バランスの重要性

「ワーク・ライフ・バランス」とは、1980年代の米国において、女性の労働率が50%を越え、仕事と子育ての両立が問題になったことから生まれた考え方です。時代が進むにつれ、「ワーク・ライフ・バランス」の対象となる人々は、子どものいない女性や男性にも広がっていきました。

この考え方は、わが国においても、少子化、過労死や過労自殺、男女不平等、教育問題、介護問題、家庭崩壊といった様々な負の社会現象と密接に関わる問題であるとして、政府は2007年、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」、「仕事と生活の調和推進のための行動指針」を策定するなどして政策に盛り込みました。

1980年代から2000年代にかけて問題となった長時間労働問題や過労死問題では、主として働き盛りの男性の問題とされてきましたが、家庭の家事や育児と仕事、あるいは家事と介護などを両立させるというハードワークを求められている現代の女性にとっても、「ワーク・ライフ・バランス」は必要です。

児童虐待について

児童虐待は、家族病理現象の一つとされ、子どもが健全な成長・発達する権利を侵害する行為です。対応の遅れが子どもの死亡に直結することもあるため、緊急性が高い場合は司法的な強制介入が行われますが、同時者の支援拒否や抵抗などもあり、その介入的対応の課題は多いとされています。

児童虐待の類型には、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト(放任)、心理的虐待などがあります。近年、相談・対応件数の増加やマスコミの報道などによって注目を浴びていますが、児童虐待は古くから存在していた現象であり、進行しているものではないとする意見もあります。

児童虐待の予防的対応は、主に市町村が担当し、地域や専門家との連携によって、家庭訪問などの家族維持を中心とした支援が行われています。一方、深刻な虐待が疑われ、親子分離の必要性が高い場合は、児童相談所による司法的な強制といった介入的対応がとられます。

DV(ドメスティック・バイオレンス)について

DVは、家族間で起こる暴力(ファミリー・バイオレンス)の一つであり、主に夫婦間暴力の意味で使用されます。同居の有無に関係なく、恋人関係で行われるものも含みます。

DVの種類には様々あり、殴る・蹴るといった身体的暴力、怒鳴る・脅す・無視するといった心理的暴力、性行為を強要するといった性的暴力、生活費を渡さないなどの経済的暴力、行動監視や交遊制限などの社会的暴力などがあります。

2001年に「配偶者暴力防止法」が制定されるまではただの夫婦げんかとして見過ごされてきたことが、それ以降は犯罪として認知されるようになりました。

DVの被害者は主に女性で、児童虐待と併発しているケースも多い中、経済的理由あるいは被害者特有の心理的問題から加害者と離縁することができず、第三者の介入や支援の難しさが問題となっています。一方で、加害者に対するカウンセリングや更生プログラムといった支援の必要性も認められています。

離婚と再婚について

国内の離婚の現状

2016年の厚生労働省の統計をもとにした概算によると、3組に1組の夫婦が離婚しているという結果が出ています。国際的に見ると、決して少ないと言える割合ではありません。また、離婚後は母親が子を引き取るケースが多く、母子家庭世帯の貧困率の高さも問題となっています。

子どもにとっての親の離婚

親の離婚に対して、「恥ずかしいこと」と思い、「普通の家庭ではない」と感じる子どもが多いといわれています。子どもにとっては選択の余地がなく、説明不足のまま決行されることも多い離婚ですが、子どものショックや疎外感などを軽減するためにも、幼い子どもにも離婚の説明は必要であるといわれています。一方で、「どちらと住むか」などといった選択の責任を負わせることは、子どもに大きな戸惑いを感じさせてしまいます。

離婚の影響は、長期的に見て、子どもの発達段階ごとに異なった形で出現します。

再婚(ステップ・ファミリー)の現状

厚生労働省の2015年の統計を基にした概算によると、結婚する4組に1組は夫婦どちらか一方が、またはどちらともが再婚という結果となっています。

継親と継子の関係性をはじめとする新しい家族関係の再編に向けた葛藤や困難な課題は無数に存在します。中でも、特に継親が努力するべきであるという周囲や家族からのプレッシャーが、家族内の誰かを追い詰めてしまう原因になるといわれています。