日本家族心理学会は家族心理についての研究を重ね、夫婦や親子関係をはじめとして近年の高齢化の問題に至るまであらゆる角度から取り組んでいます。ここでは、日本家族心理学会設立の目的や取組み、研究をまとめられた書籍などについてご紹介します。

日本家族心理学会の活動と目的

「家族・愛」というキーワードが社会的にも必要になった時代の1984年に設立された日本心理学会は、家族心理に特化した研究・実践を進めて、家族に起こるさまざまな問題解決のための家族心理の普及に努めてきています。今では一般社団法人として「社会のための家族心理学会」として活動を続けています。

日本家族心理学会として活動する目的は、次のように設定されています。

家族心理学領域のアカデミックな研究を推進すること

家族心理という学問は、これからの社会生活において非常に重要です。日本家族心理学会は、家族心理学を正統的(正しい系統に基づくもの)に分析して研究していくことを目的にしています。

家族心理に関わるカウンセリング技法を積極的に取り入れて、その技法の向上を目指していること

中でも家族療法においては、家族の抱える悩みや不安などの問題を生育歴というところまで掘り返して家族心理の観点で解決に至る方法を模索します。家族それぞれにある課題に向き合うという点で非常に効果的な方法です。この家族療法をはじめ、カップルセラピーや統合的心理療法も展開していくことを目的にしています。

家族が求めている「危機の手前で予防すること」を重視して、その後の家族心理教育を積極的に取り入れること

家族心理教育の概念は、日本家族心理学会独自の考え方でつくられ実践されています。家族やカウンセラーに対して、家族心理教育を積極的に進めて問題解決の一助とすることも目的にしています。

日本家族心理学会の取組み

日本家族心理学会の取組みについては、家族学会のHPに記載されていますが、次にご紹介するような研修会や講演会が行われています。

  • 一年に一回の年次大会で発表や交流、基調講演などが行われる。
  • 総会や懇親会が実施され、その場で多くの会員と意見交換、情報交換が行われる。
  • 機関紙「家族心理学研究」が年に二回発行され、論文や家族心理に関わる情報などが掲載されている。論文の中で特に優秀と判断されたものには「研究奨励賞」が贈呈される。
  • 「家族心理学年報」が毎年一冊発行される。
  • 「家族心理学ハンドブック」が発行されている。家族集団の人間関係に焦点を当ててさまざまな家族問題についての研究と実践が網羅されている。

また、日本家族心理学会は、会員の自発的な論文発表を求めています。家族における課題の分析や家族のつながりの新たな形、夫婦間の問題が子どもに与える影響、夫婦離婚による家族心理、子どもの問題行動や不登校が家族に及ぼす影響など、多様な家族、家族構成を分析することによって生まれる理論が期待されるところです。

日本家族心理学会が目指す「心理学と家族心理学」

心理学は心の学問ということになりますが、心そのものは非常に深く広いものですから、心理学も難しい学問であることがわかります。家族心理を考える時には、家族それぞれの言動も重要になります。人の心の中は見えませんから、言動を通して読み解かなければなりません。

家族心理学は、心理学の中でも非常に幅広い角度から研究されています。上述の家族療法をはじめとして臨床心理領域だけでなく、家族への社会的支援や地域社会との関わりも考えていかなければならないからです。日本家族心理学会が目指しているものは、親子関係をはじめ、夫婦関係、兄弟関係、親戚関係などの問題解決に向けての研究です。

日本家族心理学会が認定する認定心理士とは

認定心理士は日本家族心理学会が認定している資格です。この資格は、4年制大学で専門科目として習得する心理学の基礎・基本を学びますから非常に価値のある資格だと言えます。心療内科のスタッフや学校、病院、施設などで専門的なカウンセラーとして活躍されている方もおられます。また、最近では一般企業において、社内の人事相談のスタッフとして仕事をされている方も増えてきました。この認定心理士の資格は、日本家族心理学会に申請して取得することになります。大学卒業されているのであれば、免除される学科もあります。

日本家族心理学会が予定している学会大会について

日本家族心理学会は、2020年には37回大会を予定しています。香川県の香川大学で日程は9月19日から21日までです。大会長は黒滝直弘氏で、テーマは未定です。黒滝氏は、香川大学医学部・医学系研究科に在籍され、精神医学の研究を積極的にされています。現在は、精神神経疾患の原因究明やその治療法の研究に取り組まれています。

統合失調症やうつ病に加えて高齢化問題におけるメンタルケアや子どもの思春期に起こる精神疾患による不登校問題が現代社会の大きな問題です。さらには、ギャンブル依存症、アルコール依存症の方々へのカウンセリングの必要性などの社会的要請があります。現代社会では、臨床心理学の考えで多くのカウンセラーが対応にあたっていますが、黒滝氏は、医療での取組みをもっと行うべきで心理専門職の育成が急務だという考えで取組みをすすめておられます。

過去の取組みとして、2019年には、岩手大学でアティ・ゾクチョン研究所の長澤哲氏が「良心変容の科学とスピリチュアリティ―チベット仏教の観点から―」という講演があり大盛況でした。このように、日本家族心理学会は、学会大会において、家族心理学会としての取組みの報告とともに多くの著名人による講演会を実施しています。

日本家族心理学会が目指すのは家族愛・まとめ

家族愛は、私たち家族が大切にしたい心家族心理です。日本家族心理学会では、家族愛を求めているすべての人のために役立つ活動をしています。家族の問題に真っ向から取り組む認定心理士の認定で、不足しがちな専門家の育成を図っています。また、学会独自の研究にも注目です。家族心理学の観点から家族の問題の背景にあるもの、問題が起こるきっかけや当事者や周りの人の思いなどについて統計的に研究されていることにも注目します。