家族心理は心理の学びを深めるにあたり、なくてはならない学問のひとつです。家族心理は日本国内でどのように普及しているかご存じですか?家族心理を扱うのはどのような団体か、また家族心理の民間資格をご紹介します。もしあなたがこれから家庭心理を学ぼうとしているなら、どこに学ぶ機会があるかを知っておくとよいでしょう。

日本をとりまく家族心理学習の現状

子ども非行や不登校、虐待や親の離婚など、日本では家族に係る心理的な問題が増加の一途をたどっています。臨床心理士や公認心理師はこれらの問題への造詣を深めている一方、一般家庭や学校でも、家庭を心理学見地から問題を眺めて解決への新しい道しるべを模索する必要性に迫られています。その一端を担える学問が家族心理なのです。

家族心理が日本で重要視されている現状

家族同士の心理的葛藤や家族システムに起因するあらゆる問題は、現代日本では飽和状態になりつつあります。時にそれらの問題は親殺し・子殺しといった命に係わる事件にまで発展することもある深刻な状況です。これらの学問としての家族心理、そしてそこに息づくマインドを知り、身につけることが問題発生の抑止力として期待されています。家族心理の普及が、状況改善の一端を担える可能性に注目が集まっているのです。

家族心理が日本で重要視される理由

明治時代以降、日本の家庭を支えてきた家族システムは家父長制でした。家や家族に関わるありとあらゆる決定権はすべて家長である父親が握るというモデルが、近代日本を支えてきたのです。しかし近年の離婚率の増加や少子化などの影響により、家父長制ありきでは語れない問題が続出しています。家長が母親になるケースやシングル家庭、子どものいない夫婦などに問題が起こった時の、新しい考え方の土台として家族心理が必要とされているのです。

日本で家族心理を学べる環境

日本で家族心理を学べる環境は、大きく分けて2つあります。1つは大学の心理学科、または心理学科に準ずる学科での授業や研究です。もう1つは、家族心理を扱う公的な団体から出版されている書籍や、認定資格取得を通じた学習です。異なる点は、大学での学びは心理学に紐づくひとつのジャンルとしての学びなのに対して、公的な団体では家族心理を主体とし、家族心理に紐づいたカウンセリング法やロジックを学べることにあります。

日本で家族心理を扱う団体

日本で家族心理を扱う代表的な団体をご紹介します。家族心理の周辺知識や情報を知りたい時は、これらの団体が持つ情報や強みを活かし、学びの出発点にするとよいでしょう。その他家族心理に関わる本を出版している団体もあります。そして各団体、様々な角度から家族心理を扱いますので、必要に応じて利用するのが適切です。

日本家族心理学会

日本家族心理学会は、家族心理学に関わる研究と実践の推奨と、その進歩と普及に貢献することを目的に1984年4月に設立され、2017年4月には一般社団法人として新たなスタートを切りました。他、ファミリー・カウンセリングや家族療法、カップルセラピーやブリーフセラピー、統合的心理療法を始めとする家族に関連する心理療法の向上や発展に寄与しています。家族の絆を深める啓蒙活動も積極的に行っている団体です。

日本家族療法学会

日本家族療法学会は、1960年代半ばに始まった日本大学医学部、慶應大学、京都大学の研究グループを中心にした統合失調症の家族研究がその源です。医学を始め、看護学、臨床心理学、社会福祉学、社会学、学校教育、司法臨床など、あらゆる立場での臨床研究を目的としています。精神科医を始め、公認心理師・臨床心理士、ソーシャルワーカー、教師、社会学者、弁護士など、学会員の多彩なバックグラウンドも特徴です。

NPO法人日本家族カウンセリング協会

NPO法人日本家族カウンセリング協会は、家族病理が進行して複雑化している中、家族にかかわる問題を解決することを目的に1985年3月設立されました。直接的な家族への心のケアの他、会報の発行や認定資格「家族心理士」養成やフォローアップを通じて、家族問題の解決に寄与しています。カウンセリングの他にも、家族カウンセリングの考え方を普及させることで、自力で解決に結びつけられるよう啓蒙活動にも積極的です。

家族心理関連で代表的な日本の民間資格

家族心理や関連する心理療法への造詣を深めるべく、日本ではいくつかの資格があります。資格取得は家族心理とは何かを知るに当たって、一通りのことを知ることができるきっかけになります。また、家族心理を柱として心理療法や臨床知識を体系化することも可能です。これらの資格制度を活用して、家族心理の知識を更に深めましょう。

家族相談士

一般社団法人日本家族心理学会とNPO法人日本家族カウンセリング協会が協同して創設したのが、家族心理士です。家族をとりまく社会的な状況や環境が日々刻々と変化する中で、家族の関係性を主軸にした問題に対し、助言や指導、それに啓蒙を促します。ひとつの家族を家族同士の力動や、学校、職場、地域社会や生活環境など相互関連的に捉えた取り組みは画期的で、時代に必要とされる新たな役割として注目されています。

家族心理カウンセラー

家族心理カウンセラーは、一般社団法人日本生活環境支援協会が認定するカウンセラー資格です。家族の問題はもちろんのこと、夫婦の問題に対しても適切なアドバイスができるようになることを目指しています。家族同士がお互いに与え合っている影響、例えば夫婦同士や親と子との関係で生じる影響を読み解くことで解決策を導き出すのです。また、男女の感情や家の違いの観点からも問題を見る目を養います。自分自身が抱える問題に活かす方もいる資格です。

認定ファミリー・セラピスト

一般社団法人日本家族療法協会の認定資格が、認定ファミリー・セラピストです。認定を受けるにはいくつかの条件があります。まず、協会の会員になって家族療法の実践を重ねる必要があります。大会は5回以上の参加が必要で、協会主催の「家族療法基礎講座」を修了することが求められます。また、家族療法に関するスーパーヴィジョンを一定以上受けて、初めて申請することができます。既にカウンセラーとして家族療法を実践している方向けです。

まとめ

日本をとりまく家族心理の状況と、日本で家族心理を扱う団体や民間資格についてご紹介しました。ひとことで家族心理と言っても、色々な切り口で取り扱う団体があり、また民間資格も家族心理を扱いながらもその視点は様々であることがわかりました。それぞれの団体から、必要に応じた情報を手に入れるようにしましょう。