家族心理教育に興味が出て、深く学んでみたいという人は多いでしょう。研修会に参加する、本を探して読むという方法がありますが、論文を読んで知見を深めるという方法もあります。この記事では、家族心理教育の論文をいくつかピックアップしてご紹介します。現実的に援助者は、どのようなアプローチをしているのでしょうか。

家族心理教育の論文を読めば理解が深まる

家族心理教育の論文はとてもたくさんあります。普段から家族心理教育を行っているという人でも参考になる論文がいっぱいです。自分がやっていないようなプログラムについて知れますし、家族がどんなことを思っているのかとか、どういう効果があるのかということについても知ることができます。できれば時間を見つけては家族心理教育の論文を読んで、理解を深めていきたいところです。特に周りに家族心理教育をやっている知り合いがあまりいないという人は、幅を広げる意味でも論文を読んだ方がいいでしょう。

家族心理教育の論文をピックアップしてご紹介

ここでは、家族心理教育の論文をいくつかピックアップしてご紹介します。どれも家族心理教育に興味がある人に参考になる内容になっています。

統合失調症の家族心理教育に関する今後の展望

まずは「統合失調症の家族心理教育に関する今後の展望 2013 羽田・里村」をご紹介します。この論文は、統合失調症の家族心理教育の文献を整理して、今後の展望について述べたものです。家族心理教育の流れがわかる興味深い内容になっています。家族心理教育は1990年ごろから紹介され、2000年以降になると具体例や効果、方法について検討されるようになったことが述べられています。さらに2005年以降にはピアやリカバリー、Family to Familyについて取り上げられることが増えたと書かれています。これらを踏まえたうえで、今後ピアサポートの検討の充実や、支援者と家族がチームで行う家族心理教育が行われると予測しています。

精神障がいの家族ピア教育プログラムの質的評価

「精神障がいの家族ピア教育プログラムの質的評価 2015 蔭山・横山・小林・中村」のご紹介です。この論文は、家族ピア教育プログラムを行ったあとに、思ったことや変わったことについて自由記述で質問して分析しています。家族心理教育に参加した家族と担当した家族がどのようなことを感じているのか知れる論文です。家族の記述を10のカテゴリーに分けており、リアルな声が伝わってきます。

各カテゴリーは「同じ立場の家族とようやくつながる」「体験共有から自分の体験を整理する」「本人を理解し、対応が変わる」「家族自身が前向きになる」「家族学習会の限界を感じる」「社会に働きかける意識が芽生える」「家族としての体験の価値に気づく」「自分の体験が役に立つ喜びを感じる」「プログラム担当者として熟達する」「家族学習会以外でも家族支援に励む」です。これらを見ただけでも、家族が何を感じているのか伝わってくるでしょう。家族心理教育を行っている人だけではなく、少し興味を持った程度の人にも参考になる内容になっています。

家族ピア教育プログラムを精神障がい者家族が継続実施することで得る利益

次は「家族ピア教育プログラムを精神障がい者家族が継続実施することで得る利益 : プログラム事後調査 2015 蔭山・横山・中村」です。家族心理教育プログラムを担当する家族が継続実施することでどのような利益が得られるのか調べた論文です。結果、担当を継続すればするほど希望を見出し、家族としての対応が良くなる、自分自身が前向きになって良い方向に変化するということがわかりました。担当をすることでコミュニケーションスキルが上がり、自信もついて自分の否定的な体験を肯定的にとらえられるようになるわけです。担当者になって家族ピア教育プログラムを実施することが家族にとって有意義なことであることがわかります。

併存障害を有する成人期ADHD患者に対する訪問作業療法の意義

最後に「併存障害を有する成人期ADHD患者に対する訪問作業療法の意義─家事や育児の困難により入退院を繰り返していた事例を通して─ 2019 真下・四本・角谷・橋本」です。ADHDがある成人女性に関する事例論文で、訪問作業療法を行うのと同時に、家族心理教育を行っています。家族心理教育を行うことにより、家族が病気に関する理解を示し、女性が家族に理解されないことによって苦しむことが減りました。ADHDがある成人への訪問作業療法でも家族心理教育が重要なことが示唆されています。

家族心理教育の論文をもっと読むには

いくつかの論文をご紹介しましたが、これらはほんの一例で、世の中には実に多くの家族心理教育の論文があります。家族心理教育の論文をもっと読みたいという人は、自分で探して読んでみることをおすすめします。今回ご紹介した論文は、全てJ-STAGEで読めるものです。J-STAGEとは各分野の論文が掲載されているサイトのことで、家族心理教育や心理学に関する論文も多数あります。論文を気軽に読みたい人にはJ-STAGEがおすすめです。J-STAGEで家族心理教育で検索すれば、いくつかの論文がヒットします。題名を見て気になるものがあったら、読んでみるといいでしょう。論文は基本的には無料で読めます。

他には、CiNii Articlesで検索するという方法があります。CiNii Articlesも論文を検索できるサイトです。こちらの方が多くの論文がヒットします。しかし、CiNii Articlesで論文を読むことはできません。気になる論文があったら、リンクからその論文が載っているサイトに飛んで読むか、論文が掲載されている雑誌がある大学図書館を探して読むようにするといいでしょう。

家族心理教育の論文を読んで理解を深めよう

家族心理教育の論文はどれも興味深く、しかも勉強になる内容ばかりです。家族心理教育の論文を読むことで、自分の理解度が深まり、スキルアップできます。普段行っている家族心理教育の実践と論文から得た知識が合わされば、いま以上に力があるカウンセラーになることができます。論文を有効活用して、自身の活動に役立てましょう。