心理学やカウンセリング技法を学ぶにあたって、家庭心理の学びは不可欠と言われています。家庭心理はどのようなカリキュラムで学ぶことができるのでしょうか。また、家庭心理の学びが不可欠な理由とは何なのでしょうか。大学や公認心理師のカリキュラム、大学院での研究テーマの側面から家庭心理をご紹介します。

家族心理を含むカリキュラム

家族心理を学ぶにあたって、大学の授業で取り扱われるカリキュラムは大きなウェイトを占めます。また、将来的に公認心理師になる場合も家庭心理の要素を含んだ学びは避けて通れません。大学院では家庭心理をベースにした研究テーマを設定することもあります。家庭心理がどのようなカリキュラムや研究につながるのかを確認しましょう。

大学の授業

大学の心理学科、またはそれに準ずる学科ではほぼ必ず扱われると言ってもよいカリキュラムに、家族心理が含まれることが多いです。家族心理のカリキュラムには大きく分けて2通りあります。ひとつは心理学を学ぶ基礎として、家族心理学や総論として概要を学ぶカリキュラムです。もう一つは家族療法など、実践的なカリキュラムのベースになっているケースです。いずれも個人を対象とした心理学ではなく、集団あるいは集団の中の個人を対象にしています。

公認心理師のカリキュラム

公認心理師の受験資格を得るにあたってのカリキュラムの中にも、家族心理は多岐に渡って息づいています。社会的な観点から見た家族や家族のメンバー間の関係でみた家族、家族史を掘り下げる上でも家族心理は不可欠な理論です。また、家族が精神的な病を発症した場合の家族間のサポートを考える上でも大変重要な概念と言えます。実践の面でも、家族療法といった個人ではなく複数の同一集団のメンバーを対象にしたカウンセリング手法につながる学びです。

大学院での研究テーマ

大学院に進む場合、家族心理が研究テーマの礎になる場合があります。例えば離婚率の上昇や少子化、DVやモラハラなどがなぜ絶えないのかの研究や、いかに食い止めるかを考えるにあたって、その基礎を担う理論になるのです。また、個人が持つ問題を研究テーマにするにあたっても、家族心理というフィルターを通すことで問題を俯瞰することができます。それによって研究テーマに厚みを持たせて展開させやすくなるのです。

家族心理を含むカリキュラムが活かされる場面

家族心理を含むカリキュラムが多々あることがわかりましたが、これらはどのような活用ができるのでしょうか。ここでは代表的なケースをご紹介します。具体的なケースに触れることで、家族心理に秘められた可能性をより理解が可能です。また、大学の心理学科などのカリキュラムに家族心理が含まれる意義を感じるでしょう。

家族の問題

家族心理を含むカリキュラムの学びを通してまず活用できるシーンは、まさに家族の問題です。現代の家族がさらされている環境は過酷と言っても過言ではありません。家族のメンバーそれぞれが多忙で、お互いを理解し合うコミュニケーションの時間を十分に取れないことが強い要因として挙げられます。それに伴ったすれ違いを解決するのにベースになるのが家族心理なのです。個人対複数人との関係をみるのに最適と言われています。

人間関係の問題

職場や学校、サークルなどの人間関係の力動を読み解くためにも、家族心理の考え方は大変有用です。人間関係を考えるにあたって、家族は最小単位のモデルになります。私たちは基本的な人間関係を、私たちの家族をモデルにして構築しています。このことから、家族心理は個人対複数人という関係を観るために必要不可欠と言えるのです。個人間の関係性だけでは把握が難しいことが、家族心理の概念が入ることで把握が容易になるでしょう。

家族問題に起因する諸問題の研究

近年、家族を取り巻く問題は拡大し続けています。子供の学校では学級崩壊やいじめの問題が起こり、家に帰れば習いごとや塾などで忙殺されることもあるでしょう。親も共働きで家庭には保護者の不在が続き、更に仕事は仕事で、過重労働やリストラなどの危険にさらされています。離婚やDVの問題もありますね。祖父・祖母がいれば、老後の生き方や介護、孤独死の問題が起こり得ます。家族心理は、こうした諸問題を解決するベースになる学問なのです。

家族心理がカリキュラムに含まれる理由

大学の心理学科などのカリキュラムに家族心理が含まれる理由がわかってきたと思います。それでは、こころの問題を扱うに当たって、家族心理が不可欠な理由は何なのでしょうか?これにはいろいろな観点からの理由が挙げられます。ひとつひとつ確認してみましょう。これがわかると、家族心理をより身近なテーマになります。

家族心理が人間関係そのものに投影しているため

家族は、私たちの人間関係の中でも最小単位のモデルです。これが核となり、家族とのかかわり合い方や考え方は私たちの人間関係に投影され、家族心理が影響を与えます。たとえば、あなたが好んで付き合う人や、あるいは苦手だなと思う人には同じ傾向が見られませんか?また、その集団の雰囲気もあなたが生まれ育った家庭に通じるものがあるかも知れません。その傾向に秘められた起源を解くカギになるのが家族心理なのです。

家族問題への介入に際しての周辺知識

家族療法などで家族全体をカウンセリングの対象とする時、家族が抱える問題や心理的葛藤に、カウンセラーが介入する場合が出てきます。介入にあたって家族心理を理解しておくと、介入が家族全体にどのような影響を及ぼすかを見計らうことができるでしょう。また、家族間の心理的な対立を理解し、寄り添って対応する素地が身につきます。個人対複数人をはじめとして、複数人対複数人のこころの在り方を検討する手がかりにもなるでしょう。

問題をみる視点を養うのに必要

カウンセリングの際に持ち上がった個々の問題をみる視点を養うために、家族心理が役に立ちます。いち個人からの視点だけではなく関連する様々な人々からの視点を意識することは、問題の輪郭をより浮かび上がらせる効果があるのです。また、家族間だけでなく職場や学校、サークルなどあらゆる集団内での問題を扱う際にも、家族心理が役に立ちます。家族心理は、問題や悩みをいち個人のもそのに限定せず、解決に導くための小道具と言えるでしょう。

まとめ

大学の心理学科などのカリキュラムに家族心理が含まれる背景や理由、また具体的な活用例についてご紹介しました。家族心理が、いかにカウンセリングや研究の下支えになっているかが理解できたのではないでしょうか?家族心理のカリキュラムで学ぶことを下敷きにすれば、問題もより深く捉えることができるようになるでしょう。