家族心理で学んだことを生かす場面は、相談者の家族のデメリットの現状によってさまざまで、そのケースに応じて相談内容やカウンセリング方法が変わります。家族のデメリットは、家族を構成する夫婦や子ども、兄弟、同居の高齢の親などの一部にひずみが生じることです。家族という生活をする上でメリットの多い集合体の一部に亀裂ができた時にデメリットが生じます。

ここからは家族心理のデメリットの相談内容を事例とともに解説していきます。

子ども

不登校やいじめが日常の中で頻繁に起こるようになった今、それは本人だけの問題ではなく、親・兄弟などの家族まで巻き込んでいきます。子どもの問題に限定すると、幸せな家庭を築こうとする家族内で子どもの悩みや不安は家族のデメリットとして家族内に大きな問題を起こしてしまいます。家族心理カウンセラーが、家族のデメリットとして不登校問題に苦しんでいる家族に対して家族心理カウンセリングをされたケースがあります。

『私は、家族の中の子どもの問題について相談を受けてカウンセリングを行っています。家族心理カウンセラーとして対応した事例では、不登校やいじめ、いじめの絡んだ不登校問題、家庭内暴力などさまざまですが一番多いのが不登校問題です。その中の一例をご紹介します。ある日の朝突然腹痛が襲った・・・その瞬間から家族のデメリットという部分が見えてきます。

「ただの食あたり」と考え学校に休みの連絡を入れると腹痛が治まった。次の日の朝、再び腹痛が襲う。学校に連絡を入れて休むとすぐに収まる。「学校に行きなさい」「お腹が痛い」という親子の会話の繰り返しの毎日は、相談者(母親)にとって耐えられない毎日になります。学校の先生も思うように相談に応えてくれない。夫に対して「何とかして!」という妻ですが、仕事が忙しいという理由で相手にされない。

この繰り返しが家族のデメリットになっていきます。このような状態は、対応が遅くなれば、不登校の子ども以上に母親の心身の状態が最悪になります。これが、家族のデメリットです。こういうケースは時間がかかりますが、母親の心身の状態をできる限り正常な状態に持っていくように、家族心理学理論を用いてカウンセリングを慎重に行っていきます。子どもさんの不登校の原因や解決については母親が家族のデメリットというものを理解してからになります。』

高齢の親の介護

夫婦の問題が家族心理学の観点から家族のデメリットになる場合があります。夫婦といいましても新婚夫婦から高齢者夫婦までさまざまです。また、子どもがいるか、何人いるか、高齢の親がいるかなどの家族構成もさまざまです。家族のデメリットは、夫婦関係の悪化によっても家族に重くのしかかります。ここで、高齢の親の介護を抱える夫婦の問題に対してカウンセリングを行った事例をご紹介します。

『私が家族心理カウンセラーとして依頼を受けた方は、高齢の親(ご主人のお父さん)の介護を自宅で行っている家族の奥様でした。奥様がご主人のお父さんの介護をしているというケースは多く、しかもそのことが家族のデメリットになっている場合が非常に多いです。奥様とご主人のお父さんの関係は、何といっても異性ということがデメリットになってしまい、奥様にとっては、苦痛でしかなくなるのです。

私がお話を聞いた内容の中で「お父さんが私にわがままばかりを言われ、この介護で私はだめになってしまう」という、耐えている現状をご主人にわかってもらえないことがつらいという相談でした。家族心理カウンセリングの典型的な形であると思われました。家族心理学理論でカウンセリングを進めていきましたが、このご夫婦が施設入りを希望されたのに対して、お父さんは「自宅で見て欲しい」という思いでそれぞれの立場で葛藤がありましたが、私は「奥様のこれからのことを考えて、お父さんを説得すること」を優先させて解決に至ったのです。』

高齢の夫婦の離婚

高齢者夫婦の離婚が多くなってきています。家族心理の観点から言いますと子どもさんの思い次第で離婚もありだと言えます。離婚することでお互いが余生を幸せに過ごすことができるのであればそれでいいのです。敢えて方向性を決めることは、その家族にとってのデメリットになりかねないからです。両親の離婚問題を目の当たりにして相談にみえた子どもさんの事例です。

『私は、家族心理カウンセラーとして10年の経験者です。今社会問題化しているのが高齢夫婦の離婚問題です。一緒にいても仕方がない、一緒にいるといらいらするという高齢夫婦が多いのには驚きます。そんな中でご両親の離婚問題で、子どもさんから「何とかうちの両親が離婚という選択を思いとどまらせる方法はないか」という相談が多いです。私は、このようなご相談のカウンセリングでは、子どもさんとしっかりと話し込むことから始めることにしています。子どもさんから「なぜ離婚してほしくないのか」を聞くためです。

ある子どもさんが「離婚なんて格好悪い。世間体というものを考えると年を取った両親が離婚するなんて恥ずかしい」という理由が語られました。私は「確かにそうでしょう。子どもさんにとっては、この年になってご両親の離婚なんて考えられないでしょう。でもご両親それぞれのこれからを一緒に考えてみましょう。」と話し、時間をかけて一緒に考えました。結局このケースでの離婚はありませんでした。ご両親ともしっかりと話し込み、お互いが余生を支え合うということで一致したのです。』

まとめ

子どもさんを巡る家庭内トラブルやいじめの加害、被害、不登校など、家族のデメリットにつながる出来事が多く発生しています。

また、長寿社会における高齢者家族の問題による家族のデメリットの問題も非常に多くなってきています。家族心理のカウンセリングをしていく上では、家族の中の子どもや高齢者に関するさまざまな事案に出会いますが、家族心理学理論を駆使してカウンセリングを行っていき家族のデメリットを解消してあげたいという強い思いを持って対応することが重要です。