家族心理に関わる問題は、家族全体の問題として捉えられ、家族心理カウンセラーや臨床心理士など、家族心理の専門的な知識やカウンセリングスキルを習得した人が問題解決にあたります。そこには夫婦や親子、兄弟、親せきが絡んでいる家族心理に関わる問題が数多くあります。

家族心理学は家族心理の問題を理論的に捉えた学問

家族心理学は家族全体を対象とする心理学で、子育てや介護など、近年の社会問題になっている事例を家族心理学の観点から理論化された学問です。家族心理を理論化する時には、その時点での社会問題に目を向けます。例えば近年では、児童虐待やいじめによる自殺、高齢者問題などを家族心理のテーマにして理論化されています。

家族心理に関わる問題に精通する家族心理カウンセラー

このような家族心理学を学び、多くの家族問題の実践事例に触れ、自らのカウンセリングスキルを高めているのが家族心理カウンセラーや臨床心理士です。特に家族心理カウンセラーは、家族心理に特化した資格として、学校や施設、病院などの多くの当事者や家族からの相談に対応していきます。ここで、家族心理に関わる問題に取り組む家族心理カウンセラーの仕事について事例を交えてご紹介します。

家族心理カウンセラーの仕事内容

家族心理カウンセラーの仕事は、個別に家族からの相談や問題を受け付ける個人カウンセラーという働き方と、カウンセラーを統括して管理する事業としての働き方があります。個人カウンセラーとしては、家族からの相談内容に応じて問題を把握し、家族それぞれから聞き取りや話し合いをし、カウンセリングスキルによって問題解決の道筋を見つけていきます。

家族心理カウンセラー独自の方法がありますから、問題解決事案が多ければ多いほど評判になって依頼される数も多くなります。事業として家族心理カウンセリング組織を作っていくときには、ネットや書籍などに事業紹介をして依頼を受ける形になります。企業や学校、病院という大きな組織の中に家族心理カウンセラーを派遣する場合も多いです。

さらに、家族の問題が社会現象になっている今、家族心理カウンセラーへの講演依頼も増えています。夫婦の問題や子どもの問題など、カウンセラーとして学んできている家族心理学の観点で話をしたり、実際に担当した家族の問題を事例として発表したりしていきます。家族心理カウンセラーの仕事内容はこのように多岐に渡っています。

家族心理に関わる問題

家族心理に関わる子どもや高齢者への虐待や夫婦の離婚やDVの問題、不登校やいじめという学校が絡む問題など問題はさまざまです。家族の基本は夫婦と言われますが、家族の問題は、遠い親戚も含めて大人数の問題と捉えることも必要になります。家族心理学はまだまだ歴史は浅いですが、実践事例は多く研究されています。家族心理に関わる問題の一部をご紹介します。

家族の問題を家族全体の問題として捉える

家庭内暴力の事例があります。一人っ子の子どもが母親への暴力を繰り返していたというものです。母親からの相談で家族心理カウンセラーが動きました。この事例からは、子どもが悪いという見方もできますが、カウンセラーは、この事例から家族全体にカウンセリングを行いました。「家族心理では家族の問題を家族全体の問題として捉える」という考え方でした。この事例に関わったカウンセラーの対応です。

『その子どもに母親がどう関わってきたかということが一番知りたかったことですが、それ以上に他の要素(学校や友人関係、親戚関係など)が気になっていました。家族心理を考えますが、他の要素は大きく働いていることもあります。多くの人に聞き取りをした結果、子どもの学校での友人関係によるイライラが見えてきました。子どもは、そのイライラを母親にぶつけていたのです。』

家族心理学研究でも取り組まれている研究でも事例報告されていますが、誰がどう当事者の問題に関わっているかを明らかにすることから始まります。社会全体が当事者に影響を与えている場合もあります。「当事者が悪い」というだけでは問題解決には至りません。家族やその家族を取り巻く社会にまで目を向ける必要があります。

家族の問題を家族の成長に結びつける

家族心理学研究の一つの目的として取り上げられているのが「問題解決の過程や結果による個人、家族の成長」です。家族それぞれが家庭を持って日常生活を送っていますので、家族心理カウンセラーなどの専門家のカウンセリングによって家族が高まっていかなければなりません。問題解決によって家族の絆を深めます。家族心理カウンセラーがカウンセリングを行った事例です。

『私がカウンセリングにあたった事例で、夫婦の離婚問題がありました。夫の不倫問題と妻の浪費癖という問題でした。しかも、カウンセリングを行った結果、夫婦それぞれにお互いの問題が影響していたというものでした。夫は妻の浪費癖のために不倫に走った、妻は夫の不倫がわかって浪費癖になったというものでした。この事例では、私とご夫婦の3人で話し合いを持つことで解決に至ったのですが、3ヵ月後にお会いしたときには、夫婦の絆が深まったといわれていました。』

家族心理に関わる問題では、問題解決をすれば終わりというものではなく、家族心理カウンセラーとしてその後のケアも必要で、それによって家族が成長することを望みます。これからの家族は、ますます少子化、高齢化の問題を抱えることになります。家族の柱である夫婦の問題は家族心理学でも柱になります。

問題解決のための参考書・家族心理学ハンドブック

日本家族心理学会が発行しているのが家族心理学ハンドブックです。学会が30年に渡る研究実践を重ねてきた理論や事例をまとめたもので、「家族集団の人間関係」に焦点を当てた書物です。夫婦、親子、子ども、高齢者などの家族を構成する要素について、非常に詳しく解説されています。

家族心理に関わる問題に取り組む家族心理カウンセラーなどの活躍・まとめ

家族心理に関わる問題に取り組む家族心理カウンセラーのカウンセリングスキルや事例についてご紹介しました。私たちにとって家族は安らぎを覚える場です。家族がいるから仕事に励むことができます。家族心理に関わる問題は、解決した後に訪れる「家族の成長」が目的です。