家族心理において兄弟のことでカウンセリングをする場合には、兄、姉、弟、妹、それぞれの関係性を聞き取ったり心理検査を行ったりします。そこには、兄弟の数や兄弟のどの位置にいるのか、親との関係などによって家族心理の中で大きな影響を受けています。「兄弟」とはどんなものか、家族心理の観点から親が知っていて欲しいことを考えます。

家族心理にみる兄弟とは

けんかをしたり、話をしなかったり、でも協力するようになったりと、兄弟がこのように成長していることが当たり前のことなのです。親は、その場その場で兄弟それぞれに対してしつけによる叱りをしたり、社会的なマナーを教えたりしますが、兄弟はそれに応えてくれてばかりではありません。家族心理でも「兄弟は親を同じ目線で見られる」という平等性があります。兄弟が何人いてもそれぞれにとっては紛れもなく親です。

兄弟は仲良くしなければいけないのでしょうか。現代社会では思春期を過ぎた頃からはスマホなどへの依存の影響もあり、兄弟関係は希薄になることは避けられないでしょう。今の社会では、子育て・教育の重要性から親に焦点が当てられています。しかし、兄弟がそれぞれに教育されていると考えれば、兄弟関係も非常に大切になります。家族心理において兄弟関係は親子関係のように重要なのです。

兄弟に起こる問題を家族心理の観点で考える

「兄弟げんか」は兄弟として生まれてきた以上当たり前のように起こることです。幼少期から「お兄ちゃんが叩いてきた」「○○(妹)が私のいうことを聞かない」などと親に訴えています。時には、兄、姉が弟、妹に暴言を言ったり、叩いたりして親から叱られるということもあります。兄弟は、このように上下関係なくそれぞれで争ったり優越感や劣等感を感じたりしています。

そして、時には家族の問題(大きな親兄弟の問題)になっていきます。家族心理学でも取り上げられていますが、赤ちゃん返りという言葉があります。これは、上の子どもの退行現象で、弟や妹が生まれた時に、親が下の子どもを可愛がるあまり、上の子どもにイライラが起こり、弟、妹に暴力や暴言を言う、親に必要以上に甘えるなどの行動にでることです。

家族心理でよく言われるのが「自分が上なのになぜ?という劣等感を感じたり親の扱いに差を感じたりする」ということです。これは、二人兄弟に多く表れる現象で、二人ですから利害関係ができると、直接相手が関わることで対立が起こり、二人兄弟ですから止めに入る者がいないということも原因になっていると家族心理では説明されています。

家族心理にみる兄弟の問題

家族は、親、兄弟、親の両親などで構成されています。そこには、複雑な人間関係が存在し、夫婦や親子関係も影響します。つまり、夫婦仲が悪ければ兄弟関係も悪くなる、親子関係によって兄弟差別などが生じて兄弟関係がうまくならないということになります。以下、家族心理に見る兄弟の問題を取り上げます。

家族心理で兄弟に関わる専門的な心理状態・カインコンプレックス

カインコンプレックスは、兄弟で起こる憎しみや嫉妬などの葛藤のことです。兄弟を認識する年齢になりますと「兄弟」とは何かを意識して考えるようになります。一人っ子の友だちが周りにいますと、余計に自分には兄弟がいると自覚します。兄弟げんかが起こった時に、兄、姉の立場である自分が「暴言や暴力行為を行いながらも手加減する」という葛藤を感じながら対応することです。

これは、家族心理学でも有名な話です。アダムとイブの二人兄弟のカインとアベルのことがよく例に挙げられます。兄カインが弟アベルに対して嫉妬、憎しみを抱き、ついには殺してしまうという話です。人類最初の殺人事件と言われています。カインは親の愛情を取られたという思いを持ってそこまでの感情になってしまったと言われています。兄弟は、それほどのライバルとも言えます。親が我が子のこのような兄弟関係に悩んでおられる場合にはどうすればいいかということに迫っていきます。

子どもたち(兄弟)の愛し方・平等という家族心理

子どもが何人かいて、その子どもを平等に愛するという親の家族心理は、当たり前のようですがなかなかそうはいきません。二人兄弟がいたとしましょう。親は、ある場面では兄を愛し、またある場面では弟を愛します。例えば、幼少期の兄は新品の洋服を買ってもらえるという得な部分があります。(弟はお下がりになる場合が多いです。)

一方で、弟はどうでしょう。弟は兄の様子(兄の言葉や遊びを学ぶ、兄が親から叱られていることを見て学ぶなど)を見て成長できるという得な部分があります。このように、親が兄弟を平等に愛しているかという家族心理では、平等という意識を持たずに日常生活を送っているので、平等ではなく「どちらも同じように愛している」ということしか言えません。

家族心理の観点から見る「兄弟の成長」

幼少期の兄弟げんかは、親の愛の奪い合いということを中心に行われます。思春期から思春期以降では兄弟はあまり関わりを持とうとしません。これは家族心理でも「自分中心で、親や兄弟よりも友人との付き合いを優先する」からだとあります。兄が中高生になると、弟はうっとうしい存在になってしまい、ほとんど口を利かなくなることがあるのです。

兄弟が成人すると、仕事や家庭を持つようになります。それぞれが独立して生活がありますから、一般的にはお盆やお正月に実家で会う程度の付き合いになります。しかし、兄弟が大人になると、家族に何かがあったときには、大人の兄弟としての協力をします。例えば親が大病で入院したとしましょう。親の年齢を考えると、そう長くないかもしれません。親の子どもである兄弟は「お互いができることはしよう。」という団結をして親のために協力を始めるのです。幼い頃にけんかばかりして、思春期には口も聞かなかった兄弟が、大人になると「大人の協力」をするようになります。

家族心理としての兄弟について考える・まとめ

親子を縦のつながりとすると、兄弟は横のつながりです。家族心理でいろいろな問題を考えるときには、縦のつながりを持つ親子関係は大きいのですが、横のつながりは、兄弟、親戚、友人、先生、同僚、先輩、近所の人、地域の人など限りなくたくさんあります。この横のつながりの先頭にあって、親子関係同様に大きなつながりなのが兄弟関係です。