人間の「心理」とは、一体何でしょうか。

簡単に言えば、それは「心の働き」であり、「行動の源」でもあります。また、心理は、自動思考としてパターン化する事もあれば、柔軟に変化するものでもあります。そして何より、生命維持活動に必要なものです。

この記事では、そんな人間の「心理」について、分かりやすく丁寧に解説しています。

1.心の働き

「心理」とは、外的な環境の変化や、五感を通した経験などの刺激に反応して現れる、心の働きのことをいいます。

外的な環境の変化とは、例えば他人の動きや言動、子供の成長、天候や気温など、身の回りで変動する全ての物のことです。これらは人間の味覚・触覚・聴覚・嗅覚・視覚といった五大感覚として知覚され、各神経を経由し、電気信号として脳に刺激を与えることで、その反応として感情や思考といった一連の心の働きをもらたします。

このことから、現代科学においては、心理の居所は脳にあると考えることが一般的とされています。かつては、胸の中にあるとも腹の中にあるとも、はたまた魂として体内を巡っていると考えられていた時代もありました。

いくら脳や人体を解剖しても、人の「心理」は視覚化することはできません。現代の最先端の医療技術をもってしても、それだけは不可能です。人一人の先天的な性質や生まれ育った環境あるいは経験の違いによって個々の心の働きは百人百様であり、人間の「心理」とは、複雑かつ神秘的なものと言えます。

2.行動の源

「心理」は、人間の行動の源となるものです。意識的心理・無意識的心理に関わらず、人が何かしらのアクションを起こす動機として、そこには必ず何らかの心理があります。

例えば、ご飯を食べるのは「お腹が空いた」という心理が働いたから、あるいはお腹が空いていなくても何らかの理由で「食べよう」という心理が働いているからです。

「なんとなく本を開いた」など、特に深い理由なく行動したようでも、「ただなんとなくそうしようと思った」という心理が働いたからこそ行動に至ったという訳です。

これらの事実をもとに、行動から遡って心理を読み解くような心理学的アプローチも多数存在します。

3.変容するもの

「心理」は固定的なものではなく、経験や学習によって変容するものです。経験や学習に伴い、環境や刺激に対する捉え方が変化します。一般に、いい変化を「成長」や「成熟」と呼んだり、悪い変化は「歪み」や「トラウマ」などと呼ばれたりします。

「心理」は特に年齢的に幼いほど柔軟ですが、大人になるにつれてある程度パターン化するなどして、一定の働きを形成するものあります。例えば、悲しい体験や痛い思いをした時に、「こうしたらこうなる」と学習し、その一連の流れに似た傾向を避けるといった行動に繋げる事で、危険や心理的ショックを回避する事ができます。人の心理は時に、このような条件づけが確立して、パターン化する事があります。しかし、それは決して絶対的で不変・不動のものというわけではありません。

「心理」は、場合によってはトレーニングによって意図的に変化させる事も可能です。物事の捉え方や受け取り方の歪みを正しくするための学習や、条件づけられた特定の物事に対する恐怖心を克服するための訓練といった様々な心理療法が存在し、それぞれに成果を上げています。

4.生命維持に不可欠なもの

人間の心理には、生命維持を脅かす危険な状況を回避するための防衛反応が備わっています。もしもそういった心理が無ければ、危機感やタブーが学習されず、危機回避ができずに危険な目に遭ってばかりで、リスキーかつ非常に短命な人生となってしまうでしょう。

例えば、人間には「観察学習(モデリング)」という心理学習機能が備わっていますが、この働きによって、先人が犯した生命に関わる失敗行動を見て学習し、回避する事が可能です。人間はこうして、危険を回避しながら生存と繁殖を成功させてきたのです。もしも人間に心理が存在しなければ、ここまでの文明の進化や発展も無かったに違いありません。

心理が使われた言葉の例

・深層心理…意識的に自覚・認識できる心の状態の、その奥にある無意識的な心理を表す言葉

使用例:「深層心理にあるものとは?」

 

・心理状態…その時の心の状態のこと

使用例:「不安定な心理状態」

 

・集団心理(群集心理)…人間の集団状態時に特有な心理の特徴や働きのこと

使用例:「集団心理が働く」

 

・心理療法…薬物などの物理的な手段ではなく、ストレスの元となっている心理的な原因を分析し、対話や訓練などを通して、歪んだ心理や傷ついた心理の修正・回復を図る治療法の総称

例:論理療法/認知療法/認知行動療法/来談者中心療法/交流分析/物語療法(ナラティブセラピー)/系統的脱感作法/EMDR/解決志向アプローチ(ソリューションフォーカストアプローチ)/機能分析心理療法(FAP)/マインドフルネス認知療法(MBCT)/集団認知療法/家族療法/芸術療法(絵画・箱庭・音楽・遊戯など)/森田療法/内観療法など

 

・心理学…人の心理を研究する学問を指す。起源は哲学にあり、科学・医学と融合して、その後哲学からの独立に至る。五感や記憶なども研究の対象で、現存するカテゴリーは臨床・分析・発達・神経・生理・個人・性格・社会・犯罪・教育・家族など

心理の類義語

  • 感情…人間や動物などが、対象の物事などに対して抱く気持ちのことです。喜怒哀楽や、恐怖・幸福感・嫉妬・殺意・愛しさなど、感情にはあらゆる種類が存在します。
  • 気分…感情と似ていますが、心理学では、一定期間持続する気持ちの感覚を「気分」とし、感情はより一時的なものとされています。
  • 精神…心理が「心の理(ことわり)」、「心の働き」であるのに対し、精神は「心」そのもの、あるいは「心のエネルギー」などを表します。また、「精神」の意味は他にも多く存在し、解釈の幅が広いものとされています。
  • 思考…思考とは、経験や知識をもとに、思い考えることです。判断や推理の際に用いられる知的機能のことを表す言葉です。